ティファニー カッパー バングル 1970's

ティファニーが米鉱山会社 Phelps Dodge のために製作した、社員向けノベルティと考えられるカッパーバングル。

銅板を真鍮のクリップで留めたように見せる構成が最大の特徴で、素材のコントラストがインダストリアルな美しさを引き立てます。

用いられた銅は、同社の象徴ともいえるカッパークイーン鉱山のものと推測され、企業史と素材史が一体となった稀少なプロヴィナンスを帯びています。

Phelps Dodge は1834年創業、2007年の買収まで操業を続けた大手鉱山会社で、全盛の1970〜80年代には無事故・無災害を称える社内表彰として多くの銅製ノベルティを配布していましたが、ティファニー製作のものは現時点でこの一点のみとされ、流通例はほとんど確認できません。

ティファニーは企業向けの記念品制作を数多く手がけてきましたが、汎用デザインへの名入れではなく、企業オリジナルの意匠で仕立てられた本作は極めてレアな存在です。

銅の素朴な温かみと真鍮のアクセント、そしてティファニーの確かな仕立てが融合し、コレクションとしてはもちろん、アメリカン・インダストリアルの物語を装いに添える一本としても秀逸です。